困難な問題を抱える女性への支援法が成立 (2024年4月施行)

掲載日:2024年1月27日 

法令

貧困、性暴力・性犯罪被害、家庭内暴力(DV)など様々な困難を抱える女性への支援を強化することを目的とした法律。

種別 成立
公布日 2022年5月25日
施行日 2024年4月1日より
関連資料
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法令の内容

第一条

(目的)
第一条 この法律は、女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めることにより、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。

要点

売春防止法に法的根拠を有することに起因する制度的限界がすでにあり支援を必要とする女性たちに婦人保護事業が十分対応できていないとの認識から官民一体となって困難な問題を抱えている女性たちの自立を包括的に支援する新たな制度が必要とされることから法整備が成された。

第二条

(定義)
第二条 この法律において「困難な問題を抱える女性」とは、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む。)をいう。

要点

「困難女性」を定義しています。

第三条

(基本理念)
第三条 困難な問題を抱える女性への支援のための施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 女性の抱える問題が多様化するとともに複合化し、そのために複雑化していることを踏まえ、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら、抱えている問題及びその背景、心身の状況等に応じた最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、その発見、相談、心身の健康の回復のための援助、自立して生活するための援助等の多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること。
二 困難な問題を抱える女性への支援が、関係機関及び民間の団体の協働により、早期から切れ目なく実施されるようにすること。
三 人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすること。

要点

「女性の福祉」「人権の尊重や擁護」「男女平等」といった視点を明確に規定することで、福祉のあり方や人権、平等に配慮された法律であると言えます。

*これまでの婦人保護事業が、昭和31年に制定された売春防止法を法的根拠として「性行又は環境に照らし て売春を行うおそれのある女子」(要保護女子)の「保護更生」を図る事業として始まり、法制定以来、一度も抜本的な見直しがなされていなかった。(厚労省HPより)